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子供の頃の消しごこちのわるい香りつき消しごむや、泡立たない紙せっけん。
面倒でめったに使わないのだけれど、必ずランドセルの特等席に入れていた。
教科書を取り出すときにそれがチラッと見えると、嫌いな雨の日のさんすうの時間もなんだか暖かくなった。


無駄だけど必要なもの。


あれから何年も経ち、そんな物もいつの間にかどこかに消えて
すっかり大人になったと思っていたけれど
家のなかを見渡せば、見た目だけで選んだ持ちづらい石鹸や、匂いの違う似たような化粧水、使い道のないガラス瓶
などがそこかしこに座って、こっちを見ていた。
仕事に行くためバタバタと準備しながら、目の端に映る香りつき消しごむ達に
大人になった今でも小さく小さく支えられている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小林優子
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