1993年作成の小冊子「有次」より
心根を受け継いで 創業1560年 |
ARITSUGU "Aritsugu" published October 1993 |
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沖芝 昂 庖丁鍛冶 |
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kitchen
knife blacksmith,
Okishiba Noboru The essence of knife making is derived from sword forging techniques that have been handed down from father to son for many centuries. Okishiba Noboru, too, has followed in his fatherユs footsteps. Even now, he continues to apply the skills that have been handed down from generation to generation. For the several hours it takes to finish the knife, his body is a mass of energy. From forging up to quenching, he controls fire and water without any bias, and transforms copper material into a tool. Each single moment bom from a strong purpose unleashed from the depths of his existence creates a knife on a par with a celebrated Japanese sword. |
寺地 茂 打ちもの |
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wrought
metal craftsman (brass, copper, aluminum), |
今井 建二 刃物職人 |
今井さんは、京都の町中に工房を構え、仏像や能面を彫る時に使う小刀や彫刻刀をつくっている。規模を大きくすれば、必ず手づくりから離れ機械に頼るようになると、今も一人で「ほんまの手作り」にこだわっている。 かつて今井さんは、ある宮大工さんからの注文で槍鉋(ヤリガンナ)を十数丁、六ヵ月をかけて造ったことがある。その槍鉋は、奈良の寺院の大きな塔の柱を削るために使われた。普通の鉋に比べて槍鉋で木の表面を研ぐように削っていく作業は大変な手間がかかる。木の繊維を痛めずにていねいに根気よく削るためだ。しかし、その目前の作業の手間を惜しまずやっておくと、木肌の表面は磨き上げたような仕上がりになり、建物はでき上がって何百年とたってから、二十年、三十年という単位で寿命を大きく伸ばすという。 目先の利益にとらわれず、何百年も経ったときのために、道具づくりのレベルに還って仕事を構築する考え方はいかにも職人的。何百年もかかって育った木は、切れる道具によって倍生かされる。しかし、そんな仕事に耐える切れ味の道具をつくることのできる「本物」も今は数少ない。道具もまた「なま物」なのである。 |
carving
utensil craftsman, Imai
Kenji has his workshop in the center of Kyoto, and makes various knives
and chisels for carving Buddhist statues and Noh drama masks. Generally,
when expanding the scale of operations, the craftsman must remove
himself from making things by hand and rely on machinery. |
山田 末義 おろし金 |
仕事をはじめて38年になる山田さんのもとに京都の料理屋さんからテニスラケットほどもある大きなおろし金が「目立て」に戻ってきた。「目立て」というのは、長年使ってにぶくなった歯を、再度一つ一つ鋭くおこし直すことをいう。その大きな別注物のおろし金、実は先代の仕事で、山田さん自身もはじめて目にするものだった。それがプロの料理人の仕事場で40年近い現役生活を送って帰ってきたのだ。「おやじのしよったん、おいときたいなあ」とちょっぴり本音をもらしながら先代の仕事を目に焼きつけていた。この特大のおろし金が次に「目立て」に帰ってきたとき、その仕事を引き受けるのは、三代目を継ぐことが決まっている息子さんの義浩さんの役目となるだろう。いい道具は長生きだ。 |
grater
craftsman, |
「今日のご飯をどないして食べようかと考えてた時代に比べたら幸せやね今は。ものすごい抵抗感あるけどね」 井上 忠吾 銅鍋 |
井上さんは、元旦以外364日金槌をはなさない。寸同鍋、ゆき平鍋、段付鍋、さまざまな種類の鍋を、軽いものでも8キロもある金槌でつくり上げる。10歳そこそこで丁稚としてこの道に入ってからずっと、そんな職人生活を続けてきた。だから週休2日というようなシステムもどこ吹く風。「今の世の中は、もう贅沢という言葉を通り越しとる」と写る。‥‥1日金槌を握らないと、リズムを取り戻すのに3日はかかるという肉体的危機感が今の井上さんの仕事を支えている。 |
beaten
pan craftsman, There is only one day of the year when Inoue Chugo is not wielding a hammerムNew Yearユs Day. On any other day, he is beating all types of pansムtall cylindrical pans, casseroles, and ribbed pansムinto shape. The techniques Inoue Chugo applies to make this wide variety of pans has been honed to perfection over the past fifty years. |
「私どもの世代、そして、新しい世代とともに、心をこめた道具づくりを続けてまいります」 寺久保 進一朗 |
このたび「有次」という小冊子を制作いたしました。大量生産大量消費時代が曲がり角を迎えている今私たちが料理道具づくりを通して見てきたもの、見ようとしているもののほんの一瞬をご覧になっていただけたら幸いです。 |
THANKS
"Aritsugu"
published October 1993 for Aritsugu Co., Ltd., represented by Terakubo
Shinichiro, the 18th direct descendant of the founder Tel:
075-351-5800
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小冊子「有次」 |
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1993
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ARITSUGU |
Kitchen
knife blacksmith
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