ギャラリー モーニング 現代アートをリビング空間へ。アートのセレクトショップ 
Exhibition sales of Contemporary ART


updated 2023-05-09
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佐薙真由展 Sanagi Mayu Exhibition 2月26日〜3月3日

Hotel

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「Fictitious」



一昔前のPCゲームの、いかにもヴァーチャルな空間を見たことがあるだろうか。

均一なテクスチャーと嘘くさい奥行。そこに私たちは違和感を感じながらも、不思議と精神的に入り込むことができていた。
かつては芸術の空間構築の一技法であった奥行表現は、いまや進化し、現実世界にそっくりなところまで近づいてきている。
ヴァーチャルに侵食される現実世界と、ヴァーチャルの世界にはない時間の流れを、一つの絵画空間に閉じ込めたい。


                                          佐薙真由



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Fictitious
Computer games from a couple of decades ago, depicted a virtualreality with an unreal sense of depth. Yet, with the development of technology, depicting a three-dimensional world in two-dimensional space has become relatively easy. As part of the new face exhibition program, the artist introduces a series of paintings that deal with the human perception of depth.


Feb 26-Mar 3
Paintings
Open: 12-7pm (-5pm on Sun), closed on Mon
Admission: Free

微妙な手ぐせ持った肉感的なグリッド

清水泰介


絵画とグリッドの関係はルネサンスの時代から遥か今まで続いている。デューラーの木版画はあまりにも有名だが、絵画の中に透視図法を導入するためにグリッドが使われたのはもちろん、教会に架けられる祭壇画は現実空間の建築の延長線上に見えるようにグリッドを持つ空間を備えて描かれた。いわばそれらは絵画という平面に現実空間のリアリティを持ち込むための「しかけ」であった。




また、モダニズム絵画においてはモンドリアンやマレーヴィチのようにグリッドそのものが主題となり、グリッドが持つ遠近法的な意味や現実空間との接続は排され、それらの絵画に描かれたグリッドはタブローの平面性を強調し、暴露するものでもあった。また、グリッドそのものが持つ効果として奥行きのある画面に均等にグリッドを配したとき、その画面の平面性のみが強調されることもしばしばある(中村宏の「一点消失」のシリーズを思い浮かべてもいいだろう、または青木繁「海の幸」における下書きのようなグリッドがもたらす奇妙な平面性…)。




佐薙の作品には写真や映像などどこかで見たようなフィクションの中の具体的なイメージと共に、微妙な手ぐせ持った肉感的なグリッドが描かれている。その空間に配置される(マッピングされると言ってもいいだろう)グリッドはCGで描いたように緻密な訳ではなく、そのため、そのグリッドは絵画=平面に現実の空間的リアリティを補強するものにはなっていない。またモダニズム絵画のように絵画=平面のフィクション性を強調し暴露するためにそのグリッドは用いられておらず、あくまで具体的な風景に寄り添って配置されているだけだ。
あくまで具体的な風景でありながら、過去のグリッド表現に寄り添わないグリッドが抽象的な空間に仕立て上げている、この往還が佐薙の絵画の魅力とも言えるのだが、また、そのグリッドは絵画というフィクションの中に更なるフィクションの次元を持ち込むために引かれた補助線だと見ることも可能であり、それこそが佐薙の絵画の持つリアリティなのだと考えることもできるのではないだろうか。




Taisuke Shimizu
2011.3 神戸大学 国際文化学部 現代文化論講座 芸術文化論コース卒業

「侵食される、背を向ける」


「Stop motion」ゆらぐ、光の道


「Depth- 囚われる思考


「Depth- 囚われる身体」

1985  東京都生まれ、愛媛育ち
2008  愛媛大学教育学部 芸術文化課程 造形芸術コース 卒業
2010  京都造形芸術大学大学院 芸術表現専攻 卒業


個展
2011 「Momentary fluctuation-瞬間の変動-」/京都・ギャラリーモーニング


グループ展
2008.11 グループ展「ヴァニタス」/大阪・乙画廊
2009.3 大黒屋現代アート公募展 入選/栃木・板室温泉大黒屋
2009.4 大学院展進級制作展「SPURT」/京都
2009.8 Art Camp/大阪・ギャラリーヤマグチ
2009.8 中之条ビエンナーレ/群馬・中之条町旧小学校、廃温泉など
2010.1 3人展「ミチミチル-3つの視点と100の感性」/京都・ギャラリーRAKU
2010.2 3人展「ミチミチル-小さな絵画のリズム」/京都・ギャラリーRAKU
2010.3 京都造形芸術大学大学院修了作品展/京都・ギャラリーオーブ
2011.8 グループ展「ORA」/東京・コートギャラリー国立
2012.2  二人展「佐薙真由×山本麻衣子」/京都・ギャラリー16

gallery morning kyoto
73th. Exhibition


2013
New Face